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ブックマーク / knakayam.exblog.jp (10)

  • 千葉法相の死刑執行命令 | 中山研一の刑法学ブログ

    7月28日、千葉景子法務大臣が、2名の死刑執行を命じ、同時に執行したと発表したことが報じられました。千葉法相に対しては、先の公訴時効の廃止・延長問題への対応(全く慎重さを欠いた安易な決定)から見ても、もう何らの積極的な改革の実行も期待していませんでしたが、今回の措置は、自ら死刑廃止議員連盟に所属し、(死刑の廃止を志向するという)自己の信条とも矛盾する行為に及んだという点からも、なぜこの時期にあえて死刑執行命令という「重い決断」に踏み切らざるを得なかったのかという疑問を払拭できないものがあります。 落選議員であるという弱点を自覚するのなら、法相を辞職するのが筋であり、死刑の執行への立会いや刑場の公開によって死刑の問題性を喚起することは、死刑の執行命令を下すこととは別の次元のことで、これをセットして評価することにも疑問があります。 また、法務省内に死刑問題の勉強会を作るという案にも、安易に賛成

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  • 時効廃止・延長法案成立 | 中山研一の刑法学ブログ

    もっともっと議論されるべき「公訴時効」制度の改正問題が、あっという間に国会を通過し、改正案は4月27日に可決され、即日施行となってしまいました。政治と金や普天間基地の問題などで他の法案審議が進んでいない国会で、ほとんど実質的な論議もないままに重要な法案が通ってしまうという「異常」さには、驚きをこえて怒りを覚えます。 しかも、民主党の千葉景子法務大臣が記者会見で「犯罪被害者や国民の期待に答えるべくがんばった」と喜んだといわれるに至っては、開いた口が塞がらない思いがします。夏の参議院選挙を控えて、夫婦別姓や婚外子差別に対応する民法の改正案などについて国会審議の見通しが立たない中で、一つの「成果」を上げ、法務省内でも安堵の空気が広がったといわれているのです(2010年4月28日朝日夕刊)。 今回の改正の立案と審議過程と結論には、明らかに特定の犯罪被害者団体の強力な要請活動と、「犯人の逃げ得は許さ

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  • 千葉法務大臣に問う | 中山研一の刑法学ブログ

    千葉景子氏は、民主党政権下での初の女性法務大臣であり、弁護士でもある点で、その力量が大いに期待されたところでした。しかし、最初の仕事が「公訴時効」の問題について、殺人罪等の時効を廃止するという法制審議会案を了承して立法化を進めるというのでは、何とも理解し難い危惧を感じないわけにはいきません。この問題では、「死刑を含む重大事案について検察官の請求により裁判所が時効の中断を認める」というのが民主党案であり、これが無視されても平気というのでは、「政治主導」の名が泣くというべきでしょう。 法制審議会案は、もとは法務省の官僚が作ったもので、これをほとんどそのまま通してしまう「法制審議会」も、かつての自民党政権下のものと全く変わっていないのが現状です。千葉法務大臣としては、何よりもこのような官僚主導の立案体制(官僚が支配する審議会)にこそメスを入れることが期待されているはずです。 なお、最近の法律雑誌

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    zyugem
    zyugem 2010/03/20
  • 少数意見の尊重 | 中山研一の刑法学ブログ

    懸念された通り、法制審議会の刑事法部会は、2月8日に、殺人罪などの公訴時効を廃止し、それ以外は現行の時効期間を2倍に延ばす要綱骨子案を賛成多数で決定したと報じられました。しかも、この改正案が通れば、現在進行中の事件にもさかのぼって適用することになるというのです。いずれも多数決ですが、時効の廃止と延長については11:3であるのに対して、遡及適用については10:4という評決の微妙な差に注目しなければなりません(2月8日読売)。 実は、法務省の要綱案に終始反対したのは、弁護士会推薦の委員の3名だけで、それ以外の裁判所、検察庁、警察庁関係者および専門の刑事法学者委員は、時効の廃止と延長には全員が賛成し、遡及適用については、1人だけ(おそらく学者委員)が反対票を投じたものと思われます。勇気のある1票といえるでしょう。 ここで注意を要するのは、公訴時効期間を延長した平成16年の改正の際には、さかのぼっ

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  • 時効の廃止・延長問題 | 中山研一の刑法学ブログ

    民主党への政権交代後、これまでの刑事司法改革の見直しが期待され、現に、服役中の受刑者が「再審」によって冤罪であることが分かった「足利事件」からの教訓として、自白偏重の捜査手法が批判され、密室での取調べを全面的に録音・録画する「可視化」が現実的な課題となっています。しかし、この問題は「捜査方法」全体の問題のひとつとして「慎重に検討する」程度にとどまっている状態です。 ところが、一方で、「公訴時効」(犯罪発生後一定の時日の経過によって公訴の提起ができなくなる制度)については、すでに平成16年に時効期間の延長がなされたばかりなのに、急にこの問題が浮上し、法務大臣の諮問をうけた法制審議会が2009年11月から2010年2月までという短期間に答申を出し、法案を今国会に上程することが予定されています。 しかも、法制審議会が審議の対象にした改正案の内容は、法務省があらかじめ用意した「たたき台」に沿ったも

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    zyugem
    zyugem 2010/02/09
    感情に走る刑事司法改革は,本当に恐怖感すら感じる。
  • 政党ビラ配り有罪 | 中山研一の刑法学ブログ

    政党のビラを配布するために東京葛飾区のマンションに立ち入ったとして住居侵入罪に問われた住職に対して、最高裁判所第2小法廷は、11月30日に、被告弁護側の上告を棄却し、有罪が確定しました。集合住宅へのビラ配りについては、昨年4月の「立川防衛庁官舎事件」判決に次ぐ、2度目の有罪判決ですが、そこには見逃せない問題があります。 これら2つの事件には、政治的な意見の表明手段として、集合住宅の各戸のドアポストにビラを配布するという共通性がありますが、裁判所側の判断にも、第1審はいずれも無罪、控訴審はいずれも有罪、そして最高裁第2小法廷がいずれも有罪という、同様の経過を辿っています。ここでは、第1審が「無罪」としていた理由に注目する必要があります。 「立川事件」では、それが刑法で処罰するほどの行為でなく、むしろ商業ビラと比較しても政治的な表現の自由は尊重されるべきだとしましたが、「葛飾事件」では、マンシ

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    zyugem
    zyugem 2009/12/02
  • 民主党政権と取調べ可視化 | 中山研一の刑法学ブログ

    このブログでも、だいぶ前に、政権交代の場合を想定して、警察・検察での被疑者・被告人の取調べの際の録音・録画制度の実現可能性について指摘したことがありました。そして実際に、今回の選挙で「政権交代」が現実のものとなりましたので、この問題が浮上してくることは必定となってきました。 この点に関して、選挙翌日の朝日新聞(2009年8月31日夕刊)は、「脱自民 中央官僚 覚悟と期待」と題する記事の中で、国交省などの省庁とともに、法務省もまた、制度改革を迫られているとして、以下のように指摘しているのが目を惹きました。 「マニフェストに『取調べの録音・録画』を掲げた民主党による政権が確実となり、全過程の録音・録画(全面可視化)を迫られることになった法務省。幹部の間には『国民の意思なら、従うだけ』という冷静な声の一方で、捜査を担う検察には『真相が解明できなくなる』と反対論も根強い。『日の刑事司法を大きく変

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    zyugem 2009/09/02
  • 冤罪を見抜ぬこうとする姿勢 | 中山研一の刑法学ブログ

    私自身が弁護団に参加している刑事事件の控訴審の公判に出た際に、裁判官の態度がいかにも形式的で冷たいという感想をもったことは、このブログでも触れました。 その控訴審は、実質的な審理を一切することなく、8月7日に判決を言い渡しましたが、案の定、原審の有罪判決を維持し、被告・弁護側の控訴を棄却するというものでした。その判決文が送られてきましたので、読んでいますが、従来からの型にはまった控訴棄却判決の手法を踏襲したもので、裁判所としては、もう手慣れたものだという印象を受けました。それは、検察官の立証の不十分さをカバーする形で有罪とした原判決をそのまま維持することを前提にして、被告・弁護側の「詳細な控訴理由」には極めて冷たく、最初から理由なしという結論を導くための論理を探して、これを簡潔かつ無難に記述したものにすぎないというのが率直な感想です。 最大の問題は、有罪の証拠と無罪の証拠とが拮抗するような

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    zyugem 2009/08/17
  • 民主政権になったら・・・悩む警察庁 | 中山研一の刑法学ブログ

    今、福田総裁の後継を決める自民党の総裁選が行われています。新聞やテレビに候補者の顔が大写しに出てきますが、その裏には、総理と閣僚の役職争いや次期の選挙運動目当てという中身が透けて見えますので、今回は国民は冷めた目で眺めているようです。 自民党は政権政党なので、政局を自党に有利に展開する立場と術策にたけていますが、現在の深刻な国民生活の立場から見ますと、余りにも国の責任政党と官僚の無責任な対応が目立ちすぎますので、永年続いた自民党と特権官僚による支配体制にも危機が予想されます。 では、次期の総選挙で、民主党が勝って、民主政権になったらどうなるのか、懸案の解決が一歩でも進むのかという点は、いまだ未知数だといわざるを得ません。 ただ、ここで1点だけ、かなりはっきりしていることがあることも事実です。それは、朝日新聞「政策ウォッチ」という欄が指摘する以下のような記述です(2008年9月13日)。 「

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    zyugem 2008/09/17
    今まで人にお見せできないような取り調べをしてきたってことかい?
  • 平野博士の「核心司法」論 | 中山研一の刑法学ブログ

    来年5月から、裁判員制度が導入されることになっていますが、これが国民的な要求から出たものとはいえないため、市民の関心はきわめて低く、法曹三者(法務省、最高裁、弁護士会)のうち、陪審制に最も熱心であった弁護士会の内部でも議論が分かれるという不自然な状況にあります。法務省や最高裁が熱心なのもいささか怪しげで、目的も効果もはっきりしません。 しかし法務当局側からは、この新制度が煩瑣な「精密司法」から整理された「核心司法」への転換であるといった声も聞こえてきます。そこで、「核心司法」論の元となった平野博士の論文を参照してみました(「参審制の採用による『核心司法』を」ジュリ、1148号2頁、1999年)。 そこでは、たしかに、参審制によって、捜査記録も、要を得た、そして事件の核心を突いた短いものとなり、公判での証人尋問、反対尋問も、精密なものではなく、核心的なものになるかもしれず、それによって精密司

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    zyugem 2008/07/13
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