実験的な映像作品で知られる映画監督の高林陽一(たかばやし・よういち)さんが15日、肺炎のため死去した。81歳だった。 告別式は近親者で行う。喪主はおい、正喜氏。 京都市出身。立命館大在学中に8ミリ映画を自主制作し、1959年の「南無」で監督デビュー。個人映画の草分け的存在として活躍した。代表作に独・マンハイム映画祭グランプリの「餓鬼草紙」(72年)や、ATG(日本アート・シアターギルド)と提携した「本陣殺人事件」(75年)、芸術選奨新人賞の「金閣寺」(76年)など。人間の生死や男女の情念を見つめた「滅びの映像美学」で知られた。 2003年、16年ぶりに「愛なくして」を発表。昨年、息子が殺人を犯した老夫婦の逃避行を描いた「虚空の淵(ふち)で」を完成させていた。