2016年5月27日、現職の米国大統領としてオバマ大統領が初めて広島を訪れた。 平和記念公園で行われた「核なき世界」を訴えるスピーチと被爆者との抱擁はメディアで大々的に報じられ、日本中が被爆国としての思いが報われたような高揚感に包まれている。 だが、オバマの広島訪問は、「核廃絶」に対する使命感だけに駆られたものなのか? 国連と米軍で10年以上、平和維持活動に関わってきた筆者が、その真意を解き明かす緊急寄稿。 今回のオバマ米大統領の広島訪問には、当初、太平洋戦争中に日本軍の捕虜になった元米軍兵士が同行すると発表され、米国では大きな話題になりました。(最終的に取りやめが発表) なぜ話題になったかといえば、この元兵士が「バターン死の行進」の生存者だったからです。 フィリピンのルソン島中西部にあるバターン半島は、日本人にはあまりなじみのない土地かもしれませんが、太平洋戦争中、日本軍と、米国・フィリ