映画大国インドで歴代興行収入1位に輝き、さらに全米で週末興行成績3位を獲得するという大快挙を達成したインド映画、『バーフバリ 王の凱旋』。本作は、通称「ボリウッド」とよばれるムンバイ(ボンベイ)のヒンディー語映画ではなく、南インドのテルグ語、タミル語映画であり、インド映画の懐の深さを物語っている。 実際に本作を鑑賞すると、その前評判の高さをはるかに凌駕する、あまりにも激烈な面白さに驚愕してしまう。娯楽の王道も王道、いや、それを超えて、もはや“天道”を往く作品だ。興収データはもちろんだが、これはむしろ、内容の面で歴史に残るべき傑作である。まだ本作を見ていないのならば、すぐさま劇場に駆け込んでほしい。趣味趣向が多様化する現代において、ここまで年代性別問わず多くの観客が楽しめ、それでいて一つ一つの表現が極度に洗練されている明快な娯楽作品は、近年なかったのではないだろうか。 音楽や舞踊に始まるイン