〈音楽は進むことをやめてしまった〉という認識が共有されるようになった2000年代を経て、かつては保守的なジャンルだと思われていたジャズとR&Bがその諦め切ったムードを覆した時代が2010年代だと言える。リスナーが再び〈いま〉や〈その先〉や〈未来〉を聴き取るようになった音楽は、いつしか〈コンテンポラリー・ジャズ〉や〈フューチャー・ソウル〉と呼ばれるようになった。マンチェスター出身のピアノ・トリオ、ゴーゴー・ペンギンは前者を代表するバンドだろう。 2014年のセカンド・アルバム『V2.0』でマーキュリー賞にノミネートされ、ジャイルス・ピーターソンやジェイミー・カラムらから賛辞を贈られた若き3人組は、ブルーノート移籍後初の作品となった2016年のチャレンジングな『Man Made Object』を経てもなお前進することをやめていない。それは、この度リリースされる新作『A Humdrum Star