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ブックマーク / mochizukisana.com (9)

  • 『多様体:非実在オブジェクトのリポジトリ』

    ジョン・ゾーン主宰のTzadikレーベルからリリースされた『Multiplicities: A Repository Of Non-Existent Objects』 メンバーは Brian Marsella: Fender Rhodes Piano John Medeski: Hammond Organ Kenny Grohowski: Drums Matt Hollenberg: Guitar この編成は、Simulacrumの3人(Medeski,Grohowski,Hollenberg)にブライアン・マルセラが加わった形のユニットで、同じメンバー編成で2021年に『Chaos Magick』をリリースしています。 以前このブログでは かつてと違い、現在のTzadikは少数の「コアメンバー」が存在し、そのコアメンバーの組み合わせを微妙に変えることでいくつもの編成パターンを生み出してい

    『多様体:非実在オブジェクトのリポジトリ』
  • 『Beyond Good And Evil』 Simulacrum 最後のライブ盤

    今年2020年は、ジョン・ゾーンのグループ、ネイキッド・シティの1stアルバムがリリースされてちょうど30年という節目の年です。 1stアルバム「Naked City」は、現代音楽からハードコア/スラシュメタルまで、ジャンルごとの垣根を横断してしてめまぐるしく移り変わるゾーンの音楽スタイルのまさに原点といえるアルバムですね。 その後のゾーンは、マサダという新しい活動の軸を加えつつ、それぞれのジャンル要素を解体して、信頼するミュージシャンに演奏させていくというスタイルを取っていくことになります。 そんなゾーンのめまぐるしくハイスピードでハイテンションなハードコア/スラシュメタルな面を引き継いだのが、かつてはペインキラーというグループであり、その後はマイク・パットン(vo),トレヴァー・ダン(b),ジョーイ・バロン(ds)によるトリオ・Moonchildだったわけです。 ただ、どちらのグループ

    『Beyond Good And Evil』 Simulacrum 最後のライブ盤
  • ジャズ・ファンクの逆襲 『スケアリー・ゴールディングス IV』

    今回は、スケアリー・ゴールディングス(Scary Goldings)の新作アルバム『Scary Goldings IV』について うーん、それにしても大晦日12月31日にアルバムをリリースするってどうかしてる。アルバムを売る気あるのかな、、 スケアリー・ゴールディングスというのは、ロサンゼルスを中心に活動するスケアリー・ポケッツに、ジャズピアニスト/キーボーディストのラリー・ゴールディングスが参加してできた、スピンオフグループです。 で、そのスケアリー・ポケッツというグループは、ビートルズやクイーン、ジャスティン・ビーバーといった新旧のアーティストをファンク・カヴァーしてYouTubeにアップするというコンセプトで活動しているグループ。 元パンプルムースのジャック・コンテと、彼の友人であるギタリスト/シンガー・ソングライターのライアン・ラーマンの2人が中心メンバーです。 この2人に加えて曲

    ジャズ・ファンクの逆襲 『スケアリー・ゴールディングス IV』
  • ついに来た! New Masada Quartet

    ここまでリリースを待ち望んだアルバムというのは年に数枚もないな、というくらい待望だったジョン・ゾーンの新グループNew Masada Quartetのアルバム。 アルバム名も『New Masada Quartet』というセルフタイトルアルバムのようです。 New Masada Quartet John Zorn (sax) Julian Lage (guitar) Jorge Roeder (bass) Kenny Wollesen (drums) New Masada Quartetではデイブ・ダグラスと組んだ2管フロントというかつてのスタイルを捨て、ジュリアン・ラージのギターを含むカルテットという編成。 ホルヘ・ローダーとケニー・ウォルセンのリズムセクションも含めたメンバー構成は、Tzadikレーベルゆかりで集められる最も豪華なメンバーと言ってよいかも 初めてNew Masada Qu

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  • ついに来た! ジョン・ゾーンのバガテル(Bagatelles)

    2021年にリリースされたジョン・ゾーンのバガテルプロジェクトの4枚組ボックスセットですが、トップバッターとして1枚目に起用されたのは前回のマサダプロジェクトに続いてメアリー・ハルヴォーソン・カルテット。 Personnel Drew Gress (bass) Tomas Fujiwara (drums) Mary Halvorson (guitar) Miles Okazaki (guitar) バガテルとは ジョン・ゾーンのバガテル(Bagatelles)について簡単に説明すると、2015年の2か月間で集中的に作曲された300もの膨大な楽曲群のこと ゾーンは「バガテル・マラソン」という一連のライブイベントの中で、他では見られないさまざまなミュージシャンの組み合わせで演奏してきました。 これは基的に第二期・第三期マサダと同じスタイルなのですが、楽曲はユダヤ旋法という制約を取り払い、「バ

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  • John Zorn’s Emergency! / ジョン・ゾーンのオルガンジャズ

    今回はジョン・ゾーンが演奏するジャズ、その中でもオルガンジャズについて紹介したいと思います。 ピーター・バラカンさんはたまに良いこと言う 洋楽を聴く人はピーター・バラカンさんの文章はどこかで目にしたことがあると思います。 私もむかし彼のディスクガイドなどを何冊か買って読んだことがありますが、当時は全く名前も知らないミュージシャンについての情報やエピソードなどを知ることができて、けっこう役に立ったなぁと思います。 ただ最近になって改めて彼のをパラパラとめくってみると「んんー、ちょっと趣味が合わないかな」と思うセレクションも多いのも確かなんですよね。 彼は「ブルーズが好き」と公言していてセレクションも「いかにも」という感じなのですけど、わたしはそこまでブルース好きじゃないのでちょっと趣味が合わないのかも そんなピーター・バラカンさんが何か雑誌で話していたこんなエピソードがありました。 「雑誌

    John Zorn’s Emergency! / ジョン・ゾーンのオルガンジャズ
  • アンブローズ・アキンムシーレが表現する最高の ”現代ジャズ”

    トランぺッター、アンブローズ・アキンムシーレの新作『On the Tender Spot of Every Calloused Moment』は、2020年前半のジャズシーンの最注目アルバムです。 Personnel Ambrose Akinmusire (trumpet) Sam Harris (piano) Harish Raghavan (bass) Justin Brown (drums) アキンムシーレが”現在ジャズ”のトップランクに位置するトランペットプレイヤーであることは疑問の余地はないと思います。 このアルバムも”現在ジャズ”のひとつの到達点を示しているのだと思います。 アルバムの参加ミュージシャンですが、アキンムシーレとは10年以上いっしょに演奏しているメンバーらしいです。 ワンホーン+ピアノトリオという編成はいまとなっては逆に新鮮です。 サム・ハリスのピアノはちょっとひ

    アンブローズ・アキンムシーレが表現する最高の ”現代ジャズ”
  • これが本当の「アラビック・ジャズ」

    今回は中東系のふたりのミュージシャン、イラクルーツのトランペット奏者アミール・エル・サファー(Amir El Saffar)と、イランルーツのサックス奏者ハフェス・モディルザデー(Hafez Modirzadeh)の紹介。 特に新譜が出たとか話題になったとかじゃないのですけど、ここのところずっとふたりのアルバムを探しては聴いてました。 いわゆる「アラビック・ジャズ」はジャズじゃない わたしは「アラブ音楽」と「ジャズ」どちらの音楽も好きで良く聴いているので、よく「アラビック・ジャズ」という単語を目にします。 「アラビック・ジャズ」のミュージシャンとして紹介される人というと レバノン出身フランス在住のイブラヒム・マーロフ(Ibrahim Maalouf) UKジャズの新世代として紹介されることもあるヤズ・アハメド Yazz Ahmed チュニジア出身のウード奏者ダファー・ユセフ(Dhafer

    これが本当の「アラビック・ジャズ」
  • ジョン・ゾーン『Heaven and Earth Magick』レビュー

    ジョン・ゾーンの新作『Heaven and Earth Magick』は、2019年にRouletteで行われたライブ演奏を収録したアルバムで、アメリカのビジュアル・アーティストであるハリー・スミスの同名の実験的ストップモーションアニメ映画をモチーフにした作品。 ハリー・スミスは錬金術やカバラといったオカルト系の歴史家としても知られて、『Heaven and Earth Magick』でもそういった神秘的なモチーフが描かれています。 ゾーンはこういうの大好きですからこの映画にオマージュを捧げたアルバムということなのでしょうね。 ちなみにハリー・スミスは、画家、詩人、人類学者、言語学者、音楽学者、歴史家、哲学者など多才な活動を行っていた人で、特に1952年に発売された6枚組のアルバム『Anthology Of American Folk Music』は、1927年から1935年までのフォーク

    ジョン・ゾーン『Heaven and Earth Magick』レビュー
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