30代以上の人にとって、マンガと言えば紙の雑誌、紙の単行本であることが当たり前だったと思います。日本の少年少女は、多くの人が、小さなころから、学校、家、飲食店など、ありとあらゆる生活シーンの中で、紙のマンガに囲まれて育ってきました。 もちろん、家庭の教育方針でマンガに触れないように育てられた人もいるかと思いますが、それにしても昔は、電車の網棚や道端の古紙交換など、街で暮らしているだけで、マンガというものが目に入るシーンは本当に多かったでしょう。 なぜ、そこまでマンガがあまねく日本に広がったのか? これはさまざまな意見がありますが、いわゆる「再販委託制度」と言われる「再販売価格維持制度(再販制度)」と「委託販売制度」の2つの、書籍流通の制度が大きな役割を果たしました。 再販制度は、1953年に始まった制度で、書店で販売される書籍の販売価格を、地域の格差なく一定価格で販売するよう定めた制度です