2010年08月13日21:31 カテゴリ本経済 ケインズの確率論 ケインズの処女作、『確率論』の訳本が出た。私は学生時代にケインズ全集の1巻の下訳をしたことがあるが、まだ刊行されているとは驚きだ。価格は12600円なので、訳本を買うのはおすすめできないが、原著が電子書籍(無料)で読める。 本書が出版されたのは1921年。これはフランク・ナイトの"Risk, Uncertainty and Profit"と同じ年で、両方とも似たテーマを扱っている。それは社会における不確実性の扱いである。それまでの確率論は、統計力学などの物理現象を扱うもので、サイコロの目の出る確率は1/6というように客観的に決まっていた。しかし社会現象にはそういう物理的な規則性があるとは限らないので、これをどう扱うかがむずかしい問題だった。 ナイトは不確実性を客観的なリスクと区別されるものと考えたが、ケインズは両者を総合し
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