前回エントリで触れたように、ブランコ・ミラノヴィッチがアセモグル=ロビンソンに批判的なエントリを書いていたので、そこで取り上げられていた3つのポイントを紹介してみる。 アセモグル=ロビンソンはピケティが制度を完全に無視したと言うが、米国やフランスやその他の国における格差の変化に関するピケティの説明のかなりの部分が、所得税率や相続税率の上げ下げ、奴隷制の廃止といったまさに制度的な話だったことに鑑みると、この批判は理解に苦しむ。実際のところ、その批判はまったく不誠実なもので、最初にピケティをマルクスと等値した上で、制度を無視した点でマルクスを批判し、ピケティが制度を無視した点についてはせいぜい一つか二つの例しか挙げていない。そしてピケティの「基本法則」を槍玉に挙げているが、「基本法則」(実際には恒等式や動学的均衡条件なのだが)を持っていることは制度を無視していることを意味する、という極めて奇妙