「萌え」という言葉は、かなり他者を否定する響きの強い言葉だ。 「好き」とか「気に入っている」という意味合いに類する言葉だから、そういう否定性が強いことに気がつきにくいけれど、実は相当きつい言葉だ。 生身の人間に向かって「○○さん萌え」と言ったとする。 「萌え」という言葉を使った時点で、言った側は、言われた側を表層的にパッケージングしている。言い換えれば、言われた「○○さん」を言った側の都合のよいように解釈し、都合のよい姿形や性格だけをピックアップして、それを再構成し、その再構成した存在を気に入った、と言っていることとほぼ同様である。 なぜ「好き」ではなく「萌え」なのか、を考えれば分かることである。 二次元的なキャラクターや、表層的な属性そのものを売り物にしているタレントやモデルのような人々は、もともと再構成された状態で存在しているものである。だから「萌え」という言葉はよい評価としてしっくり