『週刊ダイヤモンド』 2014年7月19日号 新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1043 7月9日、北京発で共同電がベタ記事を送った。チベット人作家のツェリン・オーセルさんと彼女の夫で漢族の作家、王力雄氏が8日、自宅軟禁下に置かれたとの内容だ。 中国共産党の言論統制強化はすでに承知していたが、2人の名前を見て、背中がゾクッとする緊迫感を抱いた。 私は2人に会ったことはない。けれど幾度も会話を重ねてきたような親近感を抱いている。2人が協力して出版した『殺劫(シャーチェ) チベットの文化大革命』(集広舎)を読み、その日本語訳を完成した現代中国文学者の劉燕子氏らから話を聞いていたことが、私の親近感の背景にあるだろう。 2009年に日本で出版された同書は、中国全土に吹き荒れた文化大革命の最初のターゲットがチベットだったこと、彼らこそ最もひどい被害を受けていたことを、200点に上る写真を通して