中東の大国サウジアラビアとイランの関係が悪化していると聞きます。どうしてこんなことになったのでしょうか。 今年1月、サウジアラビア政府は、同国のシーア派の指導者のニムル師を処刑します。これに対して世界各地のシーア派が反発しました。とくにシーア派の大国イランでは、同国にあるサウジアラビアの大使館が焼き討ちにあいました。これを受けるかたちでサウジアラビアはイランとの外交関係の断絶を発表したのです。サウジアラビアの近隣諸国の一部も大使を召還するなどイランとの外交関係を格下げにしました。 一見するとサウジアラビアの国内問題に過ぎないような問題が、たちまちサウジアラビアによるイランとの国交断絶にまで至りました。なぜでしょうか。 その背景には、それまでの両国間の対立があります。まず、理解しておかねばならないのはイランがペルシア人の国であり、アラブ人ではないという事実です。サウジアラビアは、「アラビア」