正しく、納得いく判断ができるか ひとは誰も健康でありたい、長生きしたいと思う。しかし、病気を完全に避けて生きていくことなど不可能だ。いざ病気になった時、医師を訪れて説明をうける。いまやインフォームドコンセントの時代である。治療法についての選択を迫られる。 はたして、きちんと病気のことを理解して正しい判断ができるだろうか。 そんなたいそうなことではなくとも、日頃から、健康に関連してのテレビ番組や雑誌記事、本などはよく目にする。優れたものもたくさんあるが、残念ながらクビをかしげたくなるようなものも結構ある。 どう考えても効きそうにない高価なサプリメントを買う人や、がんもどき理論のような「トンデモ説」を受け入れてしまう人がおられるのは、気の毒なことだ。 医学部で病理学――病気の原因や発生機序――について教えている。大学を卒業して40年近くになるが、その間の医学の進歩には本当には目を見張るものがあ