孫がこの事件を初めて知ったのは、帰国のためにシンガポールに寄港した際のことだった。前掲の自伝によれば、日本商船に乗っていた朝鮮人が小さなメモ書きを孫に渡した。そこには「注意しろ! 日本人が監視しているぞ! 本国で事件が発生、君たちを監視するようにとの電文が選手団に入っている」と書かれていた。 実際、選手団を乗せた船が日本の長崎に到着した時、孫は警察に呼ばれ「銃とかナイフのようなものは持っていないだろうね」「帰国途中、誰に会い、どのような話をしたのだ」などと尋問を受けた。 〈刑事の一人が、あたかも犯罪人を取り調べるような態度で横柄に聞いてきた。思わず激しい怒りがこみ上げてきた。これが、そもそも彼らが四半世紀もの間念願していたオリンピック・マラソン金メダリストに対する態度なのか。同じ金メダリストの前畑、田島にも、このような不遜な態度で臨むのだろうか……。〉 身辺ではいつも日本と朝鮮から2名ずつ
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