いわゆる百年戦争(1337~1453)は、中世ヨーロッパの封建社会が近代社会へと転換するのに大きな影響を及ぼしたと内外学界では評価されているが、同時代のひとびとの目にその推移はいかに映ったのだろうか。本書は、15世紀パリを生きた人物の著述を手掛かりに、戦乱のさなかにあったパリの世相やひとびとの日常と非日常を丹念に読み解く。「史料」にいかに向き合い、叙述するかを体現する著者渾身の20年にわたる研究成果。 [ここがポイント] ◎ 日記が書かれた時代の状況や、書き手の立場・関心を踏まえながら、当時のひとびとの生活を描き出す。 ◎ 「一市民」の耳目を通して、15世紀前期のパリの等身大の日常生活空間を味わうことができる書。 15世紀前期パリ周辺関連略図 15世紀前期パリ市内関連略図 15世紀前期北フランス関連略図 凡 例 序 章 『パリ一市民の日記』に向き合う予備作業として 1 本書のねらい 2 史