タグ

2023年9月12日のブックマーク (2件)

  • 掌の美術論 <br>第8回 美術史におけるさまざまな触覚論と、ドゥルーズによるその創造的受容(前半) - けいそうビブリオフィル

    この連載では、数回前から美術史的著述における「触覚」をめぐる議論について辿り直している。辿り直す、といっても、それらの諸議論はわかりやすい一の系譜を成しているわけではない。それぞれの著者は、別の著者の「触覚」の議論と共通の知識や前提から出発している場合もあるのだが、そこからどのように作品分析に展開していくのか見ていくと、この連載の他の記事でも述べてきたように、驚くほどの多様性に満ちていることがわかる。過去の「触覚」の議論を承けていることを明らかにしている著述でさえ、具体的な作品分析を通して、別の議論を生じさせていく。気づけばそのロジックは、影響源となったはずの著述におけるロジックとは別のものになっていく。過去の触覚論を辿り直すことで浮かび上がるのは、「系譜」と呼べるような大きな幹を持たない諸議論のつながりと対立である。それは一の幹から派生する枝葉の構造というよりも、縦横無尽に広がりなが

    掌の美術論 <br>第8回 美術史におけるさまざまな触覚論と、ドゥルーズによるその創造的受容(前半) - けいそうビブリオフィル
  • 第5回 カプラローラのパラッツォ・ファルネーゼ:堅牢な軍事要塞から宇宙誌としてのヴィッラ庭園へ|「ヨーロッパ綺想庭園めぐり」桑木野幸司

    建築の歴史を勉強していると、「世界で初めて~」とか「最も~な」といった形容辞をかぶせた建物にしばしば出会う。建築版ギネス世界記録とでも言おうか。いわく、世界最古の木造建築、世界で最初の鉄筋コンクリート造住宅、高さ世界一のビル、などなど。「十七世紀最大の建築」の称号をめぐるヴェルサイユ宮殿(仏)とカゼルタ宮殿(伊)の角逐や、「世界最初の近代的植物園」をめぐるピサとパドヴァの鍔迫り合いなども、知る人ぞ知る係争だ。少し変わったところでは、「世界で初めて、風景を見るために建てられた住宅」などというものもある。イタリア・トスカーナ州はピエンツァの町に建つ、ピッコロ―ミニ宮殿がそれだという(もちろん異論もあろうが)。 西欧の十六世紀からひとつ、その種のトピックを拾ってみよう。この世紀で「もっとも建設費が高額な建物」はどれか。その栄誉(?)を主張する建物に、筆者はこれまでに二つ出会った。ひとつは、フィレ

    第5回 カプラローラのパラッツォ・ファルネーゼ:堅牢な軍事要塞から宇宙誌としてのヴィッラ庭園へ|「ヨーロッパ綺想庭園めぐり」桑木野幸司