副読本 文科省と経産省が、昨年2月につくった小学生用の原子力エネルギー学習副読本の題名は「わくわく原子力ランド」だった▼イラストをふんだんに使った色刷り冊子は、「原子力ランド館長」の「げんしろう博士」が、「メカトロ小学校」からやってきたロボット兄弟に原子力の世界を体験させるという筋立て。表紙では、ロボットたちが風船につかまって青空に浮かぶ。「君たち、はやくこっちにおいでよ。楽しいよ!」と遊園地にでも誘っているかのようだ▼中身は、「巧妙」というよりも、あからさまなイメージ誘導の仕掛けがほどこされていた。火力発電所のイラストは目をつり上げて大口で大量の石炭をほおばり灰色の煙を吐く。原発はおちょぼ口で少量のウランを食べ、にっこりほほ笑む▼「原子力は、いざという場合にも周囲へ影響をふせぐしくみで安全がまもられているのじゃ」という「博士」の言葉はいまとなっては、空々しく響く▼文科省は原発事故後の批判