大正時代の息吹を伝える北九州市門司区のJR門司港駅が、老朽化のため9月下旬から「100年に1度の大工事」(JR九州)に入る。5年半も見られなくなる駅舎を見ておこうと連日、鉄道ファンや観光客が全国から訪れている。16、17日には、駅舎にしばしの別れを告げるイベント「門司港駅まつり」も開かれる。 「この駅は九州の起点であり終点。長い歴史の中でいろんな人生を見守ってきました」。8日、香川憲次駅長(51)が約40人の見学者に熱っぽく語りかけた。工事を前に、近くの九州鉄道記念館が夏休み期間中から土曜日に開いた見学ツアー。最終日の8日までに300人以上が参加する人気ぶりだった。 1914年の建設当時の姿を残す駅舎は、ネオ・ルネサンス様式の木造2階建て。左右対称で「門」の字をイメージしたような美しい造りは88年、駅舎では初の国重要文化財に指定された。