国際労働機関(ILO)のトップであるガイ・ライダー事務局長は本紙のインタビューに応じ、六月に制定した職場でのセクハラやパワハラを全面禁止する国際条約に関し「世界で被害者を減らすために早急に批准してほしい」と日本に強い期待を表明した。政府は条約に賛成票を投じたが経済界に配慮し、批准には後ろ向き。国際的要請も高まる中、ハラスメント根絶に向けた政府の決意が問われている。 条約が国内で効力を持つには批准と呼ばれる国内承認手続きが必要だが、経団連は「部下への適切な指導と区別がつきにくい」として抵抗。政府も批准するか否か明確にしていない。 ライダー氏は、「ほとんどの国では経済団体も条約に賛成したことをみるべきだ」として経団連に苦言を呈した。その上で「ハラスメントは加害者にも被害者にもダメージを与える。どういう行為をしてはいけないかを明確にし、適正に罰すれば働く環境は改善し、生産性も上がる」と指摘。ハラ