iPS細胞を用いて肝臓や心臓の細胞を作る——。 現代では、iPS細胞やES細胞(※)と呼ばれる多能性幹細胞を使って、欲しい細胞や組織を作り出す研究が精力的に進められています。 私たちの全身の細胞は、精子と卵子が融合した「受精卵」というたった1つの細胞から生み出されたものです。 受精卵から幾度となく細胞分裂が繰り返されていく中で、ある細胞は皮膚の細胞になったり、ある細胞は脳の細胞になったりと、細胞の運命が決定づけられていきます。 これが「分化」と呼ばれる現象です。 ※ES細胞:受精卵をもとに作られた胚性幹細胞。iPS細胞と同じようにさまざまな細胞になることができる。 細胞は一度分化してしまうと、もう二度と分化前の状態に戻れないと考えられていました。 その前提を覆したのが、iPS細胞でした。 iPS細胞が「すごい」と言われているのは、分化した細胞にたった4つの遺伝子を導入するだけで、別の細胞に