米国では、実用品のデザインについて、一言で言うと「実用面と分離できる」ことを条件に通常の著作物と同様に保護するというルールが明文化されている。 米国著作権法101条(抜粋)(和訳はCRIC 外国著作権法 アメリカ編より)本条に定義する実用品のデザインは、当該物品の実用面と別個に識別することができ、かつ、独立して存在しうる絵画、図形または彫刻の特徴を有する場合にのみ、その限度において絵画、図形または彫刻の著作物として扱われる。the design of a useful article, as defined in this section, shall be considered a pictorial, graphic, or sculptural work only if, and only to the extent that, such design incorporates pi
元爆風スランプのドラマーであるファンキー末吉氏が経営するライブハウスの音楽著作権利用料の支払いにつきJASRACが裁判で争っていたのは周知だと思います。先日、その第一審の判決文が裁判所のサイトで公開されました。 結論としては、特定楽曲(どの曲かは不明)の利用の差止めと利用料相当額(300万円弱)の支払いについて、JASRACの請求が一部認められています。 判決文はやや長いですが、現在の音楽著作権管理における問題点がいろいろと議論されていますので、ご興味ある方は是非読んでみて下さい。争点と裁判所の判断は大きく以下のとおりです。 1.演奏主体の問題被告側は末吉氏のライブハウスは場を提供しているだけなので、演奏の主体ではないと主張していますが、(たまに音楽イベントを行なうレストランではなく)ライブハウスとして定常的に営業している以上、いわゆるカラオケ法理の適用により演奏の主体とされる(=著作権利
「自炊」代行は著作権侵害 最高裁で確定 - ITmedia NEWS http://www.yomiuri.co.jp/national/20160317-OYT1T50119.html 訴訟が起こるまでの経緯とか憶えている私からすると「そんな結果の分かっている訴訟をいつまでもしていたのか」という感想なのだが、ブックマークとかを見ると経緯も判決がそうなる理由も分かっていない人が多いらしい。 前提 (私的使用のための複製) 第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO048.html 以下
2015年09月03日 佐野研二郎氏のデザイン盗用・模倣問題、編集現場から考える Tweet 東京オリンピックエンブレム模倣疑惑から始まったデザイナー佐野研二郎氏の一連の盗用・模倣問題、エンブレム取り下げでひとつの大きな山を越した感があるので、ここで編集者としての率直な印象を書いておく。 例として、私が仕事で取り組んだWeb媒体の話を挙げよう。雑誌でも書籍でもなくWebを挙げるのは、スピード感が最重視されるメディアであって「限られた時間で法的にも問題ない結果を出さねばならない」現場だからだ。 私がとあるWebの編集長をしていた頃、連載や特集、特番といった新規案件が、ひっきりなしに順番待ちをしていた。もちろんそれぞれデザインを起こさねばならない。 部内にデザイナーを抱えていたので、イメージを彼らに伝えて作業させた。全体のデザインのみでなく、付随して多数の画像を作る必要がある。新連載の画像カン
オリンピック・エンブレムを巡る剽窃問題は、佐野氏の辞退によって、ひとまずの終わりになるだろう。組織委員会の、問題の本質がまだ理解されていないような会見は、更に油を注ぐようになったが、これ以後、新しいパクリ作品が指摘されても、状況的にはそれほどのインパクトを与えないだろう。 僕たちは、今回の問題で、この「複製芸術の時代」における「オリジナルな表現」とは何かという、本質的な問題に向かいあえる契機を得たのだと思う。そのことを、特に、表現に関わっている人達は、各人が、徒党を組むことなく、個人の問題として向かい合うべきだ。 8月15日のnoteに以下を書いた。 「デザイナーとは、そもそも画家でも写真家でもないわけで、画家の作品をよりよく見せるというのが任務である。オリジナルな作品を作るとしたら、それは、作家になるしかないわけだ。今回は、ネットの素材を使ったわけだが、本来なら、イラストレーターやカメラ
フォトグラファーです。 「程度の差はあれネットから無断で画像を拝借して勝手に使っちゃうって経験、ほとんどのデザイナーにあると思うんですよ。」 これは、内々で確認するためのカンプレベルと信じたい。 が、デザイナーって同じビジュアルアート系の作業である写真を全然勉強していないし、重視していないという問題が根底にあるんじゃないでしょうか? いい写真とは何かを、あんまり気にしていないから気軽に盗作できてしまうというか。 あなたには好きな写真がありますか? また、好きな写真家はいますか? もしいたとしたら、心が痛む事件だったでしょう。佐野事件は。 写真を撮る立場から佐野氏を擁護することはとうていできません。
今から10年前の2005年、「のまネコ騒動」がネット社会を揺るがしていた。大手掲示板『2ちゃんねる』で派生したAA(アスキーアート)のキャラクターたちが登場するFlash動画を、エイベックスがO-Zoneのアルバム「恋のマイアヒ」に一部内容を変えて使い、このキャラクターを「のまネコ」として商標登録を試みた。多くの「2ちゃんねらー」は既に「モナー」として親しまれていたキャラを「勝手に使い利益を得ようとしている」と捉え、激しい非難が展開された。その過程ではエイベックス社員への殺害予告まで飛び出す事態となり、最終的に「のまネコ」の商標登録は取下げられ、エイベックス側がキャラクター使用料を一切受け取らないと発表するに至った。 「のまネコ」騒動は、あるアーティストのビジュアルに、これまでネットで人気だったキャラを「剽窃」する形で使われたことに対して、ネットからの反抗の声によって、事態が覆った例として
佐野研二郎氏デザインとされるトートバッグの著作権侵害問題が大炎上しています。周知のように、結局、一部の商品の提供が中止されることになりました。 上記以外にも佐野氏や関係者のパクリを指摘するネットの声がありますが、そこでは、著作権侵害に相当しないものまで一緒くたに非難されているケースが見られます。皮肉な話ではありますが、今回のトートバッグが著作権侵害について学ぶ上でよい題材になると思いますので、これを使ってどういう場合に著作権侵害が成立するかについて見ていきましょう。 著作権侵害が成立するためにはざっくり言うと以下の条件が必要です(引用・私的使用目的複製等の著作権法上の権利制限規定はこの文脈では関係ないので割愛します)。 1. 元ネタが著作権の対象となる著作物であること元ネタが著作物(思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの)でなければ著作権侵害
TPPによる著作権侵害の非親告罪化について、にわかに盛り上がってきています。 ThinkC・MIAUによる声明、コミケ準備会からの声明もあり、周りでも非親告罪化による影響を心配し、興味を持ち始めている人が増えているように感じます。 私も、基本的に非親告罪化に対して反対です。 ここでは少し冷静に、現状の事実の整理と、日本の他法域と諸外国の著作権刑事罰の比較から検討しようと思います。 TPP 議論の状況 NHKは著作権の非親告罪化が濃厚である旨の報道をしましたが、政府の説明によると報道は正しくなく、決定した事実は無いということです。 結局、今一番正確で信頼できる情報は、(変な話ですが)リークテキストということになろうかと思います。 そこで改めて、最新のリークテキストから該当箇所を紹介します。 まずは前提となる刑事罰について、(Article QQ.H.7.1)に下記のように述べられています。
Pornographic Defamatory Illegal/Unlawful Spam Other Violations Thanks for flagging this SlideShare! Oops! An error has occurred.
著作権法 第2版 作者: 中山信弘出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2014/10/27メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 1.感情がこもった本の面白さ 学者の書く学術書は、客観的な観点から、冷静沈着にというものが多い。 しかし、一部、その著者の感情が浮かび上がる記述スタイルを取る本もある。 このような記述に対しては、一部では批判もあるところだが、私は全面的に支持したい。 それは、学問の原動力が、「これを伝えたい」という力だからであり、それが紙面にもほとばしり出るくらいパッションが込められている本には、(今その考えが通説ではなくても)必ずやその「思い」に共感する人の輪が広がっていくだろうと思うからである。 この観点から、すでに「龍田節」を取り上げたことがある 龍田節万歳!〜楽しめる基本書「会社法大要」 - アニメキャラが行列を作る法律相談所withアホヲタ元法学部生
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く