朝日新聞の「オピニオン」の5月8日紙面に長いものを寄稿した。 「日本の現在地」というお題だったので、次のようなものを書いた。 朝日新聞を取っていない人のためにブログに転載する。 日本はこれからどうなるのか。いろいろなところで質問を受ける。 「よいニュースと悪いニュースがある。どちらから聞きたい?」というのがこういう問いに答えるときのひとつの定型である。それではまず悪いニュースから。 それは「国民国家としての日本」が解体過程に入ったということである。 国民国家というのは国境線を持ち、常備軍と官僚群を備え、言語や宗教や生活習慣や伝統文化を共有する国民たちがそこに帰属意識を持っている共同体のことである。平たく言えば、国民を暴力や収奪から保護し、誰も飢えることがないように気配りすることを政府がその第一の存在理由とする政体である。言い換えると、自分のところ以外の国が侵略されたり、植民地化されたり、飢
ある媒体に長い改憲論を寄稿した。 一般の目に触れることのあまりなさそうな媒体なので、ここに採録しておく。 改憲案の「新しさ」 改憲が政治日程に上ってきている。7月の参院選で自民党が大勝すれば、今秋以降には国内での合意形成めざした議論が始まるだろう。自民党や改憲勢力がいったいこの改定を通じて「何を」実現しようとしているのか、それをこの機会に確認しておきたいと思う。 自民党の改憲草案については、さまざまな批判がすでになされている。個別的な条文ひとつひとつについての適否は専門家による議論に委ねて、私としてはこの改憲案に伏流している「新しいものの見方」についてだけ考えてみたいと思う。護憲派の論客の多くは、改憲案の「復古調」に違和感や嫌悪を覚えているようだが、私はむしろこの改憲案は「新しい」という印象を受けた。その「新しさ」とは何かについて書きたい。 まず、今日本のみならずグローバルなスケールで起き
帰国したばかりでちょっとばたばたしているので、記事の更新は後回しにして、最近見つけた面白いデータを紹介します。 これは『ブレイクアウトネーションズ』の著者ルチル・シャルマがつくった「フォーシーズンズ指数」で、高級ホテルグループ、フォーシーズンズのドル建て料金(スタンダードルーム1泊)を国別に調べたものです。海外出張に行くエリートビシネスマンのCP(コストパフォーマンス)感覚を表わしている、といってもいいでしょう。 これを見ると、ロシアとブラジルという、BRICsのうちの2カ国の宿泊費が明らかに高いことがわかります。ロシアは社会主義の時代が長く、海外からの旅行者向けのホテルが少ないという事情もありますが、著者はこの現象を、石油や天然ガス、金属などのコモディティ価格が上昇したからだと指摘しています。 因果関係は諸説あると思いますが、この奇妙な現象はおおよそ次のように説明できます。 コモディティ
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