松尾匡のページ 用語解説:疎外論 共産党支配下のソ連や中国などでは、人間の解放を掲げる思想の名のもとに、何千万人もの罪もない人々が殺されていった。 かつての日本軍国主義は、祖国と民族の誇りのために、多くの異民族を犠牲にしただけではあきたりず、特攻、バンザイ突撃、集団自決等々、何の戦闘効果もない無駄死にをすべての自国民に強要した。 今もなお、「正義」の名のもとに、「宗教」の名のもとに、「民族の誇り」の名のもとに、他人の命も自分の命も踏みにじる人々が絶えない。 そもそも、「考え方」「理念」「思い込み」「決まりごと」等々といったことは、どこにも物理的実体がない。生物的実体もどこにもない。ただ人間が頭の中で作りだした、人間の頭の中にだけあることにすぎない。 それなのに、これらの事どもは、一旦できあがると、それを作りだした生身の人間を勝手に離れて一人立ちしてしまう。そして、どこかにあたかも物理的実体