放射能汚染の生態系への影響を明らかにするためには、土壌中での放射能の挙動を解明する必要がある。大気中から土壌に沈着した放射能粒子は、年月の間に、水分や土壌中の様々な成分などの作用によって、徐々に物理的・化学的性状を変えたりしている。我々は、1987年より実験サイトを設定し、様々な土壌での放射能の分布状態や存在形態についての調査を継続している。ここでは、牧草地土壌でのセシウム137、ストロンチウム90、プルトニウム239,240、アメリシウム241の分析結果について紹介する。 土壌サンプル 各実験サイトの特徴と1993年夏における汚染レベルを表1に示す。いずれの実験地も高汚染地域に存在し、サイト2、4、5はチェルノブイリ近傍(10-40km)、サイト10、11、23は遠方(200-250km)である。土壌サンプルは、事故後未攪乱の牧草地において、70-100cmの深さまで採取し、深さ10cm