東京電力福島第1原発に保管されている汚染水について、東電が目標としていた今年度内の全量浄化処理が達成困難なことが1日、分かった。汚染水から放射性物質を除去する多核種除去装置「ALPS(アルプス)」が計画通りに稼働できていないためで、東電も現状では処理が間に合わないことを認めた。汚染水を巡っては、原子炉建屋への地下水流入を防ぐ凍土遮水壁の建設準備でも手間取っており、汚染水低減対策の難しさが改めて浮き彫りになった。【斎藤有香】 東電の目標は昨年9月、東京五輪の招致活動で、安倍晋三首相が「(同原発の)状況はコントロールされている」と述べたことなどを受け、当時の相沢善吾副社長が記者会見で「2014年度中にすべて浄化したい」と述べたもの。原理的にアルプスで除去できないトリチウム(三重水素)を除き、他の62種類の放射性物質を基準以下まで低減することを目指した。 アルプスは昨年3月に試運転を開始した