たとえば私たちが、他人と遊んでいるときでも、仕事をしているときでもいいのですが、何か一緒にものを見るとすると、その場面にふさわしいある特定のものを選択して見ているわけです。その選択の基準が規範だと思います。その規範というのは個人のものではなくて、やはり社会的なものであるはずです。 その規範はその場面に固有のものであるかもしれないですが、一人だけが一瞬従う規範というのはありえませんから、仮にその場だけの1時間だけの間で通用する規範であっても、その人たちが共同で作り上げて、共同で従っているような規範だと思います。 そういう意味でも心的な何かを理解するということは、とりもなおさず何をどういうふうに理解すべきかという共同の規範に支えられているはずです。 今まで私たちは、心を個人的現象として強くとらえすぎて、社会的な現象として取り上げるということがあまりなかったのだと思います。哲学的な議論としてあっ