ボロ船 バスは桟橋に着いた。窓から吹き込む薫風が止まり、すぐに車内は熱帯特有の熱気が優勢となった。のんびりとバスを降りるタミル人達について、バックパックを背負って暗い車内から外に出ると、カッと昼の太陽が照りつけた。そこに海風が僕を包む。陽光と海風、そして背中に食い込む重いバックパック。僕は旅をしている。 デルフト島までは10kmと少しの航海だが、外洋に出る。那覇から慶良間に行く様な感じだろうか。僕はコーズウェイを進むバスの中で、デルフト島までの船を、日本でもよく見る立派なフェリーか、あるいはホルムズ海峡の密貿易船みたいな高速モーターボートでは無いかと勝手に想像していた。過去幾多の秘境に行ったが、船と言えば立派なフェリーか、高速モーターボートか、あるいは十数人も乗れば一杯の小舟にしか出会わず、さすがに三番目の小舟は無いなと思ったからである。しかし、視界に入ってきたのは、小舟よりはマシだが、到
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