1人暮らしの親せきが亡くなった。死んだ理由がはっきりしない。事件に巻き込まれたわけではなさそうだが--。筑波剖検センター(つくば市天久保)の早川秀幸センター長たちは、警察の依頼を受け、こうした「犯罪性のない異状死体」を解剖し死因を調べている。医科系大学以外の民間機関では全国唯一だ。 解剖する遺体はセンターに運ぶ。準備としてまず、CT(コンピューター断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴画像化装置)で検査をする。これで死因をおおまかに推定し解剖で細かく調べる点を決める。CTなどは昼間の診療に使うため、検査は原則、解剖前夜だ。 当日は遺体にメスを入れ、皮膚や筋肉、脂肪の層を一つずつはがして見る。内出血が確認できる。外見で異状がなくても首の内部に出血が見つかり、絞められたと分かることもある。その後、内臓や脳を調べる。色や形は正常か。位置はずれていないか。出血やうみは。一つずつ確かめ、組織の一部を切って