日本の高騰する医療費は、政府の財政状況を逼迫させており、医療費の抑制は、政府にとって緊急の課題である。実際、政府は、診療機関へ支払われる保険診療報酬のカットや包括支払制度の導入等の「医者や病院」といった「供給」側を対象とした医療費削減政策をいくつか導入してきた。しかし、これまでの研究から、それらの政策が医療費削減に効果的であったという証拠はあまり得られていない。 医療費削減への代替案として、「需要」側に対するアプローチ、すなわち、「患者」に以前よりも多くの窓口負担を強いるという方法がある。しかし、患者の窓口負担の増加には、利点と難点の両方が考えられる。 高負担か、より良い健康か 利点は、窓口負担の上昇により、患者の無駄な医療サービスの利用を抑制できる点である。一方で、窓口負担を強いることで患者が必要な治療を受けないために、症状が悪化し、より深刻で費用のかかる病状に陥る可能性がある。もう1つ