(英エコノミスト誌 2016年1月16日号) 新たに欧州にやってきた人々を平和裏に吸収するために、欧州は寛容の精神や男女の平等といった価値観を尊重するよう、移民に強く求める必要がある。 4カ月前、3歳のアイラン・クルディ君はギリシャに向かう途中、兄や母親と共に溺死し、その遺体がトルコの海岸に打ち上げられた。アイラン君の写真はすぐに、シリアの内戦を逃れてきた多くの難民の姿を象徴するイメージとなった。この写真も後押しとなり、死の危険を冒しつつ欧州を目指して中東からやってくる人々には亡命申請を認めるべきだということで、一時は世論が一致した。 ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、ドイツ国境にたどり着いたすべてのシリア人を対象に、難民申請を受け付けると発表した。 欧州の大部分がこの難民受け入れプロジェクトに参加するかに見えた。 しかし、欧州がこの計画に加わることはなかった。難民受け入れの責務はドイツと