第2次世界大戦中にユダヤ人に「命のビザ」を発給し、約6千人をナチスの迫害から救った外交官杉原千畝(ちうね、1900~86)の妻(故人)の遺言をめぐり、四男が長男の妻と子2人に遺言の無効確認を求めた訴訟で、東京地裁(関根規夫裁判官)は17日、請求通り無効だと認めた。 判決によると、遺言は千畝の妻が入院していた2001年12月に公証人が作成。千畝の遺産など全財産を長男の子2人に相続させ、長男の妻が遺言内容を執行するとの内容だった。長男の妻と子2人は、NPO法人「杉原千畝命のビザ」の役員を務めている。 四男は、遺書がつくられた当時、千畝の妻には意識障害などがあり、遺言をする能力がなかったと主張。判決は千畝の妻に意識障害があったと認め、「遺言の作成は長男の妻と子の発案で、当時の千畝の妻は遺言の内容を理解できる状態ではなかった」と判断した。