朝鮮が日本に植民地支配されていた時期のマラリアについての原稿を読む。朝鮮に来たイギリス人は、インドや南アフリカと同じような「ヒル・ステーション」の原理を使って、低地を避けて近くの高い丘に住むことを進めたこと。マラリアの患者の年齢構成を調べると、朝鮮人と日本人移民の間で鮮明な違いがあり、子供のころからマラリアに罹っているために、成長する頃には抵抗力を持っている朝鮮人においては大人の患者は少なく、子供のころにマラリアに罹患する機会が少ない日本人には大人の患者が多いこと。こういったことも面白いが、一番のポイントは水田とマラリアの関係である。朝鮮の植民地支配がはじまってすぐに米騒動もあり、安価な米の生産が朝鮮に期待されるようになった。そのため1910年代の末から水田が飛躍的に広まる。そして、朝鮮の農村に水田が広まるにしたがって、マラリアの患者数はいったん上昇して、そして緩やかに減っていく。ここでは