ミームはまだ時代を変革するレヴェルの“大衆兵器”とまではいかず(2016年のレヴェルに達するのはまだ先だった)、それでもトロール(荒らし)の意味は知られていた。そしていま、グランピー・キャットが死んだ。 グランピー・キャットの死と同時に、ひとつのインターネットの時代が終わった。インターネットが「憎悪」ではなく「喜び」であり、「嫌がらせ」ではなく「応援」だった時代が終わりを告げたのだ。 当時のネット掲示板「4chan」は不穏な感じも漂う場ではあったが、笑いに関しては害のないものだった(少なくともそう見えた)。 けだるそうな猫、ダンス、絵画「エッケ・ホモ」の投稿などが、数カ月にもわたって大勢に幸福をもたらしてくれる時代があった。ノスタルジーはときに危険なものだし、古い人間だと言われるかもしれない。だが、そんな時代はもうやってこないのだ。 — 不機嫌な猫の死と、牧歌的なインターネットの終わり S