「君、もう来なくていいよ。君は学者なのよ。ウエイターじゃないのよ」 ニューヨークのSOHOにある高級蕎麦レストランのオーナーにそう言われたのは先週の事だった。2ヶ月間、見習いウエイターとして雇ってもらった後の事だ。私の犯した小さなミスが重なった結果だろうが、三ツ星レストランのオーナーには、そのミスも目に余ったのだろう。 キュレーターとして活動しているはずの私がこのレストランで働き始めたのは、ここがスーザン・ソンタグのお気に入りのレストランと聞きつけたからだ。私はどうにかして、大学院在籍中に書き上げたスーザン・ソンタグ批判の論文を彼女に手渡ししたかった。この論文は、私が本気でリサーチして書き上げた、正真正銘の力作だ。 平和運動に携わってきた私は、なぜソンタグがNATOによるユーゴスラビアの空爆を支持したのか、長い事疑問に思っていた。また、なぜ彼女が日本とアメリカでこれ程支持されているのか疑問
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