第二章 「仏蘭西監獄及法廷の大杉栄」を読む 「仏蘭西監獄及法廷の大杉栄」は『改造』の一九二四年六月号に掲載された。画家林倭衛による大杉栄のフランス滞在時のドキュメンタリー記である。一九二三年、林は大杉栄とリヨン、パリで多くの時間を共に過ごした。大杉からの手紙を含む五万字余の報告記は林による大杉栄への長大な追悼記である。 大杉が虐殺されて半年余の時期に発表され、まだ関係者に影響が及ぶことを考慮し詳細な描写を避けている箇所もあるが、林自身と大杉を中心に滞在中の日々が詳細に語られている。 一九七〇年代に初出誌の『改造』を入手し黒色戦線社の大島英三郎さんに存在を伝えたが復刻版刊行に至らなかった。同時期に提供をした関連文献は復刻されている。 「仏蘭西監獄及法廷の大杉栄」に着目した松本伸夫は『日本的風土をはみだした男 パリの大杉栄』(一九九六年、雄山閣)を著した。松本伸夫は東京外語大仏文科を卒業、毎日
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