2018年2月2日、トランプ政権は米国の核戦略や核戦力態勢を定める文書Nuclear Posture Review(NPR)を8年ぶりに公表した。NPR2018は筆者が昨年11月に指摘した内容(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/10992)をほぼそのまま反映しているが、本稿ではNPR本文を改めて読み解き、従来のNPRからの継続性と変化の双方の面から、日本の安全保障に与える影響について分析してみたい。 中露との「大国間競争」への回帰 まず大きな変化の1つとして挙げられるのが、脅威認識の変化である。NPR2018の冒頭では、安全保障環境が過去8年間でいかに不確実化しているかが述べられ、特に核問題の焦点がロシア・中国との「大国間競争(great power competition)」に回帰しているとの認識が強調されている。この記述は、「核テロ」と「核拡散」の防