文・中野剛志(評論家) 中野氏「すでに進んでいたグローバリゼーションの溶解」 世界最大の資産運用会社ブラックロックのCEOラリー・フィンクは、3月24日付の株主宛の書簡に「ロシアのウクライナ侵攻で、我々が過去30年にわたり経験してきたグローバリゼーションは終わりを迎えた」と記した。EU(欧州連合)のジェンティローニ欧州委員は4月21日の講演で「この危機(ウクライナ戦争)は、我々の知っているグローバリゼーションの終わりを意味する」と発言した。著名な経済学者ポール・クルーグマンも、ニューヨークタイムズ紙(3月31日付)で、「我々は、1914年(鉄道、蒸気船、電信による第一次グローバリゼーションが終焉した年)の経済的な再現を見ていると言ってよい」と指摘した。アダム・ポーゼンのようなグローバリストの経済学者ですら、ウクライナ侵攻とそれに伴う経済制裁は「すでに進んでいたグローバリゼーションの溶解とい