「カシャ」「ピンポーン」「ぴゆ〜」『200×年4月某日。私はいつもの飲み食い仲間と、できたばかりの話題のフレンチに出掛けたときのことだ。隣のテーブルは四人の女性たちが淑やかにシャンパーニュグラスを傾けている。前菜がサービスされたその時だ。「おいしそう〜」という甲高い声と共に、4人はおもむろに携帯電話を取り出し、間髪いれずに「カシャ」「カシャ」「ピンポーン」「ぴゆ〜」と写真を撮り始めた。 静かだったレストランの空気が固まった…。 びっくりしたのは私だけではなかった。近くのテーブルのご婦人たちも「??」という表情だ。支配人がさり気なく注意したにも関わらず、メインディッシュの時も電子音が鳴り響いた。彼女達は悪びれた様子もなく食事を続けていた。』 これに近いシーンに遭遇した方は少なからずいらっしゃるのではないだろうか。 フレンチに限らずレストランは料理やサービス、席を共にする人と楽しく過ごす場所