2008年10月末にまとめられた追加経済対策において、介護職員の賃金引き上げを目的として、介護報酬を09年4月から総枠で3%アップすることが盛り込まれた。これに基づき、政府は09年4月から介護報酬を引き上げた。 これまで3年ごとに見直されていた介護報酬額は、03年度にマイナス2.3%、06年度にマイナス2.4%と、いずれも削減されてきた。介護報酬のプラス改定は、介護保険制度が開始された2000年以来初めてのことだ(*注1)。 これまで介護の問題は、介護という枠内においてのみ考えられることが多かった。今回の件で、経済問題や雇用創出との関連で、介護の問題が考えられるようになった。これは、重要な変化だ。 社会保障は制度が複雑なため、専門家でないとわからない点が多い。そのため社会保障問題は専門家だけで議論されることが多かった。そうなるのはやむをえない面もある。しかし、社会保障制度はほとんどの人が関
