鹿児島県霧島市は18日、同市国分府中町の大隅国府跡から、仮名文字の書かれた平安時代の土器が見つかったと発表した。9世紀後半〜10世紀初めに作られたものとみられ、文字数から和歌の下の句と考えられる。市は「平安京から遠く離れた大隅国に豊かな文化があったことを示す貴重な史料」としている。 出土した土器は直径約15センチ、高さ約3センチの儀礼用の器とみられ、漢字から平仮名が作られる移行期に使われた「草仮名(そうがな)文字」が墨で書かれていた。「ちとせ」(千歳)という文字があることから、市文化振興課の坂元祐己主事は「大隅国府で働いていた役人が宴で祝いの歌を詠んだものとも想像できる」と説明した。草仮名文字が書かれた土器は富山県や茨城県などでも見つかっており、九州では初。