なぜジャニー喜多川氏による性加害問題は長年放置されてきたのか。元テレビ東京社員で、桜美林大学教授の田淵俊彦さんは「事務所との対立を恐れ、タレントを起用し続けたテレビ局の罪は大きい。いまも『他人事』のようで、責任意識が低い。その事実が、NHKスペシャル『ジャニー喜多川 “アイドル帝国”の実像』に出演して改めてわかった」という――。
さて、高速道路を通行するために欠かせないのがETCカードですが、このカードの利用をめぐって、最近、気になる「判決」が下されたことをご存じでしょうか。 ETCカードの貸し借りをおこなった同居の兄弟と、そのカードで車を運転した知人の計3人が、いずれも「電子計算機使用詐欺罪」(刑法246条の2)で起訴され、有罪になったというのです。 【刑法246条の2】 前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、十年以下の懲役に処する。 夫名義、親名義でも「アウト」になる この判決の話をすると、多くの人が、 「えっ、家族名義のETCカードの貸し借りは犯罪になるの?」 「うちの家
昨年10月~12月に放送されたテレビドラマ「セクシー田中さん」(日本テレビ)の原作者で漫画家の芦原妃名子さんが亡くなった。芦原さんは「マンガを大きく改編したプロットや脚本が提出されて(いた)」などと、ドラマ化をめぐるトラブルをSNSに投稿していた。なぜテレビ局は、原作者の意に沿わない改変を行ったのか。テレビ東京でドラマ・プロデューサーを長く務めた、桜美林大学教授の田淵俊彦さんは「テレビ業界の『ドラマ偏重主義』にトラブルの一因がある」という――。 「セクシー田中さん」をめぐる“不幸な”事件の2つの原因 「セクシー田中さん」の原作者でマンガ家の芦原妃名子氏のご冥福をお祈りするとともに、関係者の方々には謹んでお悔やみを申し上げます。 この事件が起こった直後に日テレから出されたコメントには耳を疑った。自己防衛としか思えない言葉が並んでいたからである。自己防衛をする前に、することがあるのではないかと
後発国でありながら「安楽死先進国」になったカナダ カナダは安楽死の合法化では2016年と後発国でありながら、次々にラディカルな方向に舵を切り続け、今ではベルギー、オランダを抜き去る勢い。ぶっちぎりの「先進国」となっている。 カナダではケベック州が先行して2015年に合法化したが、その際に法律の文言として積極的安楽死と医師幇助自殺の両方をひとくくりにMAID(Medical Assistance in Dying)と称し、翌年の合法化でカナダ連邦政府もそれを踏襲した。Medical Assistance in Dyingを平たい日本語にすると「死にゆく際の医療的介助」。しかし、これでは積極的安楽死から緩和ケアまでがひと繫がりのものとして括られてしまう。 安楽死を推進する立場はそれまでにもAID(Assistance in Dying)、VAD(Voluntary Assisted Dying
習近平体制の中国では、他国に対して強硬な対外工作が繰り返されている。今後はどうなっていくのか。『戦狼中国の対日工作』(文春新書)を書いたルポライターの安田峰俊さんは「過激な行動は出世と紐付いている。習近平が政治的実権を失えば、現在の姿勢は骨抜きになるかもしれない」という。ライターの西谷格さんが聞いた――。(後編/全2回) 「ハエがウンコに」と投稿する外交官 (前編から続く) ――攻撃的な姿勢と言えば、中華人民共和国駐大阪総領事の薛剣シュエ ジェンも戦狼せんろう中国を象徴する人物ですね。 彼は近年、X(旧Twitter)での過激な投稿で注目されています。21年10月、国際人権団体アムネスティが香港から撤退した報道について「害虫駆除!!!快適性が最高の出来事がまた一つ」と書き込んだほか、日本の政治家の玉木雄一郎氏に対して「ハエがウンコに飛びつこうとする西側子分政治家」、アメリカ政府元高官に「気
攻撃的な態度や言葉遣いで相手国を責め立て、時には国際法規をやすやすと踏み越えてくる、近年の傍若無人な中国。『戦狼中国の対日工作』(文春新書)を書いたルポライターの安田峰俊さんは「西側先進国の『自由』な社会は、中国の工作員にとって非常に活動しやすく都合が良いという現実がある」という。ライターの西谷格さんが聞いた――。(前編/全2回) コロナ禍で自信をつけた中国 ――「戦狼せんろう中国」とは耳慣れない言葉です。ただ、中国の外交官が、西側諸国にことさら敵対的な姿勢を取る「戦狼外交」は有名ですよね。例えば福島第一原発の処理水放出時に中国は日本に対し「全世界に核汚染のリスクを転嫁することであり、不道徳で非合法だ」、「強烈な非難を表明する」などと猛反発しました。 西側諸国に対して敵対的な「戦狼外交」は習近平政権が2期目に入った2017年秋以降、とりわけ2019年9月に習近平が外交部の青年幹部に「闘争精
【メールの挨拶文で印象に残す】 ×ありがちなフレーズ ABC株式会社第一営業部菊原と申します ○心が動くフレーズ お客様のお役に立てるよう毎日勉強している菊原です いまはメールやSNSなどの文字媒体でお客様とやりとりすることが多くなりました。その際、ただ単に“会社名+名前”で送っていたのでは、ほとんど印象に残りません。名前の前に“印象に残る一言”を添えて、あなたの存在をお客様に印象づけましょう。 あなたが誰かから商品を購入したいと考えていたとします。その際、「営業は嫌いだけど、食べるためにしかたなくやっているだけです」という営業パーソンから買いたいでしょうか? そんなことはありませんよね。 よほど欲しいもの以外は、「私のことを真剣に考えてくれる人から買いたい」と思うはずです。多くのお客様は“お客様のために真剣に活動している営業パーソン”に好感をもつものなのです。このような話をすると、「そん
畳の上にちゃぶ台を置けば、6畳間はダイニングへ 日本の住宅の照明は、部屋のすみずみまで均一に照らすものが久しく好まれてきた。天井の真ん中に鎮座する巨大なシーリングライトがその象徴である。 いわゆる高級マンションを除けば、賃貸物件の照明はいまも天井の真ん中に取りつけるものが一般的だ。シーリング(ローゼット)と呼ばれる照明器具の取付口が天井面にすでにあり、賃借人はその金具を目がけて好みの照明をセットする。 嫌なら使わなければよいのだが、ありがたく使わせてもらっている人が大半だろう。借家歴30年の私も、使わなかったことは一度もない。 部屋のすみずみまで均一に照らすあかりは、「部屋の用途を規定しない」という昔ながらの暮らし方にも都合がよかった。 部屋の用途とは、部屋で何をするのかという主な利用目的のことだ。現代における部屋の用途は平面図を広げればすぐに分かる。キッチン、ダイニング、主寝室……部屋の
「フードデリバリー大国」の中国で、市場をほぼ独占 中国の街中では、黒地に黄色のロゴのデリバリーバッグを背負った自転車やバイクをよく見かけます。一見、「ウーバーイーツ」のようにも見えますが、これは中国最大手のフードデリバリーサービス「メイトゥアン(美団)」の配達員です。 CNNIC(中国インターネット情報センター)の報道によると、中国国内におけるフードデリバリーの利用者は約4億7000万人(2021年6月末時点)と、全人口の実に3分の1にあたります。長引くコロナ禍と中国当局による「ゼロコロナ政策」の影響もあって、この数年で中国国内のフードデリバリー市場は大きく成長しています。そのような「フードデリバリー大国」の中国で、市場をほぼ独占しているのがこのメイトゥアンです。 メイトゥアンは、市場の67.3%と圧倒的なシェアを誇っています。もともと「グルーポン」のようなオンライン共同購入型クーポンを販
厳しい著作権法が日本のITをダメにした 前回の記事(20年前なら日本のIT技術は世界一だった…天才プログラマーの7年半を奪った「著作権法」という闇)において、2004年にファイル共有交換ソフト「Winny」を開発した東京大学大学院特任教授(当時)の金子勇氏が著作権法違反幇助罪で逮捕、起訴されたことで、日本が世界のIT革命に乗り遅れた件を取り上げた。 その一方で、動画配信システム「YouTube」が生まれたアメリカでは、1998年に制定されたデジタル・ミレニアム著作権法で、検索エンジンや動画サービスなどのサービス・プロバイダーは、法律に定める要件を満たしていれば著作権侵害の責任を負う必要がなく、そのおかげでYouTubeが世界を席巻するようになったこともお伝えした。
「×種類の野菜が取れる」「1日分のビタミンがとれる」などと謳っている商品があるが、必ずしもその栄養素がきちんと吸収され、体に良い効果を発揮するとは限らない。 理由は大きく2つある。1つ目は、製造工程で栄養素が減る可能性や、重要な栄養素が壊れてしまうこと。2つ目は、栄養素の破壊によって糖分の吸収効率が高まり、飲めば飲むほど糖尿病などの発症リスクを高めてしまうことだ。 生活習慣病の患者をきちんと指導する医師ほど、野菜果物ジュースを常飲する危険性を指摘する。すでに病を発症する人だけでなく、健康な人にも勧められない。私自身も食に関する取材を多くしてきて同じ考えをもっている。 もし体にいいから、健康を維持したいからという理由で野菜や果物ジュースを日常的に飲んでいるのであれば、その危険性を知り、頻繁に飲む必要があるのか見直してほしい。 もちろん野菜や果物そのものは健康に良い もちろん、野菜や果物そのも
3月7日、イギリスのBBCが、2019年に亡くなったジャニー喜多川氏の、少年への性加害を取り上げたドキュメンタリーを放送した。コラムニストの河崎環さんは「ジャニー喜多川氏の性加害疑惑は、過去にも一部のメディアで取り上げられており、いわば『公然の秘密』だった。今回のBBC報道に対する日本の反応には、少年への性加害に対する海外と日本の価値観の温度差がはっきりと表れている」という――。 「子どもにそんなものを見せるな!」 いわゆる国際結婚をしている友人が、こうこぼした。 「たまたま出演者の中にジャニーズがいるテレビ番組を子どもと見ていたら、英語圏出身の夫が血相を変えて走ってきて、『そんなものを子どもに見せちゃダメだ!』って、テレビを切ったの。『ジャニーズ事務所のタレントが出ている番組を見ること自体が、(ジャニー喜多川氏によって行われていたと疑われる)性的搾取をOKだと肯定することになる。大人の我
現状、ネットで調べ物をしたいときは、Googleなど検索サイトを利用することが多いだろう。その場合、検索結果にリストアップされる無数のサイトは、質の高い有用なサイトばかりとは限らない。 広告だらけで内容が薄いページや、反対に難解なページばかりを引き当て、目的の情報にスムーズにたどり着けなかったという経験は誰しもあるだろう。 一方、ChatGPTは、質問文を投げかけるだけで、必要な情報を教えてくれる。情報を求めて、複数のサイトをさまよう必要はない。 Google幹部は非常事態を宣言した ユーザーにとって非常に便利なツールだが、Google社には脅威になっている。 ニューヨーク・タイムズ紙は昨年12月、検索の未来を書き換える可能性があるとしてGoogle幹部が危機感を抱き、社内に「Code red(非常事態)」を宣言したと報じている。ChatGPTに太刀打ちすべく、社内の開発体制を根底から変更
柔軟な発想力や視点を変える能力が試される思考クイズ。問題解決を得意とするひろゆき氏が、有名な思考クイズ「リンゴを公平に分けるには?」に挑戦したところ、よくある解答例では不満が残ると指摘します。ひろゆき氏が導き出した、斜め上を行く解答とは――。 ※本稿は、西村博之『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)の一部に加筆したものです。 有名な例題「エレベーターが遅い問題」 目の前で問題が起きたとき、あなたならまず何をするでしょうか? 問題を解決するときに最初にすべきなのは、どこが問題点なのかを見極めることです。この問題点の見極めが案外難しくて、問題の本質を見誤ったために間違った解決策を実行してしまったという例は世の中にたくさんあります。 「問題点を見極める」のが大事なことがよくわかる、有名なエピソードがあります。 ある古いオフィスビルで、テナントに入っている企業やビルの利用者から「エ
90年代から始まった政府による製造業への介入政策 高度成長期、日本の製造業は国の直接介入を拒否した。1960年代に、通商産業省は外資自由化に備えて日本の産業の再編成を図ろうとし、「特振法」(特定産業振興臨時措置法)を準備した。しかし、その当時の日本の産業界は、これを「経済的自由を侵害する統制」であるとして、退けてしまったのである。外資による買収を防ぐより、政府に介入されないことのほうが重要と考えたのだ。 この当時、政府による保護策の対象は、高度成長に取り残された農業だった。ところが、1990年代の中頃から、この状況が変わってきた。競争力を失った製造業を救済するために、政府が介入するようになってきたのだ。 まず、マクロ政策において金融緩和を行い、円安に導いた。それに加え、経済産業省の指導による産業再編(その実態は、競争力が失われた製造業への補助と救済)が行われてきた。そして、2000年頃から
なぜ誰もおかしいと気づかないのか…学校で「背の低い順に並ぶのは差別」と主張する現役教員の納得の理由 一番小さい人と一番大きい人を確定して"序列"を視覚化する罪 自衛隊では背の高い者が最前方に並ぶ方式 ちなみに実際、背の順の原型は軍隊にあるが、これは背の高い者が最前方に並ぶ方式である。その方が前の台に立つ上官から見て、見栄えがいいという理由を自衛官の方から直接聞いたことがある。かつての、「気を付け!」「前へ~、ならえ!」の号令とともに全員が直立不動で話を聞き続けなければならない全校朝会の風景と、ぴたりと重なるものがある。 それでも「並び方を単一に固定するなら、逆に背の順一択でもいいじゃないか」という声が聞こえそうである。しかし、そうはいかず、身体計測のように名簿の番号順に並ぶ機会が実際にかなりある。そして何より、背の順の最大の欠点は成長の過程で順序が変動することで、混乱が生じるという点である
中国やアメリカで「日本風」のアニメやゲームの製作が本格化している。中国のコンテンツビジネスに詳しい峰岸宏行さんは「日本の人気作を輸入すると権利関係が複雑で面倒なため、自作する動きが広がっている。この状態を放置すると日本のサブカルチャー人気にも影響が出る」という――。 2023年から英語版コンテンツを無料配信する集英社 『ONE PIECE』『鬼滅の刃』などの人気作を展開する集英社が、同社の漫画アプリ「少年ジャンプ+(プラス)」で掲載されるオリジナル作品について、2023年連載分より、従来の日本語だけでなく、同時に全て英訳して全世界に無料配信すると発表した。 これまでは日本の漫画が海外言語に翻訳され、海外の消費者に届くまでにはタイムラグがあったが、それをなくし、世界中の漫画ファンにコンテンツを「よーいドン」の状態で楽しんでもらう素地を作るというわけだ。筆者は、日本が生んだコンテンツとはいえ、
グラミー賞歌手のアルバムにあった日本人の名前 世界的に人気の高いカナダ出身のR&Bシンガー、ザ・ウィークエンド。彼が今年の1月に5作目のアルバム『Dawn FM』を発表した際、大いに話題となった。いや、彼が新作を発表するともちろん常に話題になるのだが、日本では別の切り口からニュースになったのである。 その理由は、収録曲のひとつ「Out of Time」である。この曲のクレジットを見てみると、複数名が並ぶソングライター欄に、亜蘭知子と織田哲郎の名前が確認できる。 シンガー・ソングライターの亜蘭知子が1983年に発表したアルバム『浮遊空間』に収められた「MIDNIGHT PRETENDERS」がサンプリングされているため、このようなクレジットがされているのだ。 この『Dawn FM』は米国のビルボード・チャートでは2位という大ヒットを記録した。これほどのヒット作に、日本人の名前がクレジットされ
中国で「クマのプーさん」がヤバい理由 すこし前の話だが、フィギュアスケートの名選手・羽生結弦の演技後にファンが「クマのプーさん」のぬいぐるみをリンクに投げ込むパフォーマンスが、北京冬季五輪の際に関心を集めたことがあった。恒例であるはずの「プー投げ」は結局、北京ではおこなわれなかった。 中国側はその理由としてコロナの感染対策問題を挙げていたのだが、背後では違った見方も囁ささやかれた。すなわち、「クマのプーさん」は習近平と外見が似ているため、中国当局はプーさんを表に出すのを嫌がったのだ──。というのである。 バカバカしい仮説に思えるかもしれないが、実際はあながち的外れでもない。なぜなら、中国のアングラ的なインターネット空間において、プーさんが習近平の隠喩として使われているのは事実なのだ。 中国では厳しいネット言論統制がおこなわれているが、反体制派の中国人ネットユーザーが作ったプーさんコラージュ
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