地域の歴史惜しまれつつ 東北の被災文化財 登録抹消答申 震災前の角星旧酒造工場=2002年 文化財登録時の旧四倉銀行=2007年ごろ 東日本大震災で損壊した東北の登録有形文化財の建造物5件について、登録を抹消するよう文化審議会から平野博文文部科学相に答申があった。いずれも地域の歴史と共に歩んできた建物で、損壊を惜しむ声は多い。 ◎店舗保存の道探る/角星旧酒造工場(宮城県気仙沼市) 土蔵造りの店舗と共に2002年に登録指定された旧工場は、津波で流失した。木造平屋の吹き抜け構造。酒米を蒸す際、空気を抜くよろい戸が天井などにあり、昭和初年の醸造場の名残をとどめていた。 工場としては昭和20年代には役目を終え、倉庫代わりに使っていた。数十メートル流された店舗のすぐ裏手にあったため、押しつぶされるようにして壊れたとみられる。 壊滅を免れた店舗は曳(ひ)き家作業をし保存の道を探っている。斎藤嘉一