■色褪せていく反対論を証明 一昨年夏にワシントンで開かれた日本国憲法に関する討論会の場で日本外交の一研究者から「日本は国際社会のモンスターだというわけですか。危険なイヌはいつでも鎖につないでおけ、というのに等しいですね」との質問が出たことを著者は冒頭に紹介している。壇上のパネリストの中で日本に関する無知、あるいはためにする悪意から、改憲論イコール軍国主義志向だなどと口走る人物が米国にいまだに存在することへの苛立(いらだ)ちであろう。 勝者は敗者に対して国体の変更を要求する。強制ではないかのような巧妙な仕掛けをしてみても、歴史は「押し付け憲法」であることを明白に証明してしまった。にもかかわらず、この憲法を少しでも正そうとする向きに、「右傾」とか「修正主義」といった罵声が浴びせられる。安倍晋三首相の頭に「右翼の」(right-wing)との形容詞をつける論評はいまでも米紙誌に登場するではないか