2024年春、新潟県阿賀野市の高校3年、神原聡太さん(18)はパソコンを使った英検S―CBT2級を受けるため、新潟市内の試験会場にいた。デスクトップパソコンの画面を見ながら回答を入力するが、弱視のため問題文の字が小さくて読むことが難しかった。 学校の情報の授業で習ったキーボードの「Ctrl」と「+」のボタンを同時に押して拡大する方法を思い出して、やってみた。すると、試験監督から注意された。 「だめです。勝手に大きくしないでください」 見えないことを伝えたが、判断は変わらなかった。試験監督はパソコンを再起動して元の画面に戻した。 聡太さんは画面に目を近づけ、顔を動かしながら必死に長文読解と向き合った。しかし、最後まで読み切れず、結果は不合格だった。 「当然のこと」だった文字拡大 聡太さんは小学6年の時に小児がん(脳腫瘍)を患い、手術や入院を繰り返した。かつては野球や空手に熱中するスポーツ少年
