利用者から受けるセクハラや暴力の実態を話す介護福祉士の女性=東京都千代田区で2018年5月31日、手塚耕一郎撮影 介護職員が利用者や家族から受けるセクハラや暴力の被害が深刻だ。東京都内の有料老人ホームで働く介護福祉士の30代女性は取材に被害体験を語り「上司に相談しても対応してもらえない」と訴えた。現場からは2人で介助できる体制の整備を求める声が上がっている。 女性が最初に被害に遭ったのは、学生時代にアルバイトしていたグループホーム。施設の扉を開けようとすると、いきなり背後から認知症の60代男性に抱きつかれた。無言で見つめられ、女性は身動きできなかった。 ベテランの女性職員は、慌てて男性を制止した後、険しい顔で女性に告げた。「利用者に隙(すき)を見せたあんたが悪い」。まさか自分が怒られると想像していなかったが「すみません」と頭を下げた。