新型コロナウイルスの感染拡大で影響を受けた大企業の財務基盤を強化するため、政府が日本政策投資銀行の「特定投資業務」を活用して1千億円程度を出資する案を検討していることが2日、分かった。政投銀などの資金も合わせた全体の投融資の規模は、総額4千億円程度になる見通し。 対象は限定せず全産業を想定。大きな打撃を受けている航空会社のほか、自動車や船舶業界も出資の対象となる可能性がある。1社当たり数十億円から数百億円の規模で、優先株での出資を検討している。
厚生労働省が省内の全部局に、根本匠厚労相の指示として「非正規」や「非正規労働者」という表現を国会答弁などで使わないよう求める趣旨の文書やメールを通知し、本紙が情報公開請求した後に撤回したことが分かった。同省担当者は撤回の理由を「不正確な内容が散見された」と説明。根本氏の関与はなかったとしている。 (中根政人) 厚労省雇用環境・均等局によると、文書は「『非正規雇用労働者』の呼称について(周知)」という件名で四月十五~十六日に省内に通知。当面の国会答弁などの対応では、原則として「有期雇用労働者」「派遣労働者」などの呼称を用いるとした。「非正規雇用労働者」の呼称も認めるが、「非正規」のみや「非正規労働者」という表現は「用いないよう留意すること」と注意を促している。 各部局に送信したメールには、同じ文書を添付した上で「『非正規雇用』のネーミングについては、(中略)ネガティブなイメージがあるとの大臣
同性愛者ら性的少数者(LGBT)などへの支援策を検討する茨城県主催の会合で、県医師会の満川(みつかわ)元一副会長が「性的マイノリティー(少数派)の人に、マジョリティー(多数派)に戻ってもらう治療はないのか」と発言した。性的少数者の当事者らは「ショックだ」と不快感を示している。 (鈴木学) 会合は、性的少数者のカップルを公認する「パートナーシップ制度」を含め県ができる支援策を検討する目的で、当事者や医師、弁護士など計十人の委員が六月まで四回開く予定。発言は四月二十五日の初回で、委員それぞれが考え方を述べていた際にあった。 満川副会長は「性的マイノリティーの人に、性的マジョリティーに戻ってもらう治療はないのかという思いはある」と発言し、「少子高齢化の時代、産婦人科医としては一人でも多くの子どもをつくっていただきたい。戻っていただけないかと医者としての思いがある」とした。 この発言に、当事者で、
ぬいぐるみのクマと動物たちの触れ合いを描いた英国の児童文学「クマのプーさん」の著作権保護が五月末で切れ、六月二十五日に角川書店から新訳本が発行される。環太平洋連携協定(TPP)に盛り込まれた保護期間の延長で著作権切れが二十年先に延びることになっていたが、米国の離脱でTPPが発効できず、プーさんの自由化が実現することになった。 TPPにおける著作権の保護延長は、ミッキーマウスなどの人気キャラクターを抱える米国の主張で決まった。これを受けて日本は昨年末に国内法を改正。TPP発効と同時に、TPP参加国以外の国も含めた国内外の作品の保護期間を作者の没後五十年から七十年に延長することにした。 しかしTPPは発効されず、プーさんの著作権は切れた。今後は二〇〇五年に著作権保護が切れたサンテグジュペリの「星の王子さま」を競って出版したように、プーさんの「新訳ラッシュ」がみられる可能性が出てきた。一方、ディ
業務用わさび最大手の金印(名古屋市)が、日本原産の香辛野菜「本わさび」に含まれる成分がヒトの育毛を促すメカニズムを初めて解明した。東京で二十四日に開幕する国際食品素材・添加物会議「アイフィア・ジャパン」で発表する。 本わさびの葉から、アンチエイジングに効果があるポリフェノールの一種である「イソサポナリン」と呼ばれる成分を抽出。ヒトの頭皮の毛根にあり、発毛に関する物質伝達をつかさどる「毛乳頭細胞」にイソサポナリンを加えて培養すると、細胞が活性化する効果が観察された。活性化の度合いは、市販の育毛剤の有効成分に使われる「ミノキシジル」を加えた場合の三倍に達した。 育毛を促すメカニズムについては、イソサポナリンの働きによって、毛乳頭細胞が外部からの刺激を受け取る「受容体(レセプター)」の感受性が高まり、細胞を活性化させることが判明。毛髪をつくるのに必要な栄養などを、毛乳頭細胞に送り届けるための毛細
腹筋を鍛える運動器具「ワンダーコア」を使用中に死亡したのは器具の欠陥が原因として、名古屋市の男性=当時(46)=の親族女性が、ワンダーコアの輸入販売会社「オークローンマーケティング」(同市)に七千万円の損害賠償を求め、名古屋地裁に提訴した。提訴は十四日付。 訴状によると、男性は昨年五月九日未明、自宅でワンダーコアを使用中、首につけていたネックレス二本が、器具のヘッドレストか背もたれ部分のピンに引っかかり、首を締め付けられて窒息死した。
東京メトロ銀座線青山一丁目駅で十五日、視覚障害者で盲導犬を連れていた品田直人さん(55)がホームから転落し、電車にひかれて死亡した。身近な駅に、どのような危険が潜んでいるのか。目が不自由で、白杖(はくじょう)を使う東京都盲人福祉協会の笹川吉彦会長(82)と一緒に十六日、現場を歩いた。 (谷岡聖史) ホームの幅は三メートル。壁が近く、圧迫感がある。電車が着くと、乗り降りの人で歩きづらい。電車のごう音で話し声も聞こえない。笹川さんが大声を上げた。「音が大きく響くから、電車がどっちから走ってくるのか分からない」 笹川さんは四十年ほど前、ホームから落ちたことがある。JR高田馬場駅で人混みに押され、足元のブロックを見失い、安全な場所に戻ろうとして、誤って線路側に足を踏み出してしまった。「発車直前で、もう終わりだと覚悟した」 この日の青山一丁目駅でも、サングラスをかけ、白杖を手に歩く笹川さんに気
食べるものにも困る極度の貧困が、静かに広がっている。病気や失業など誰にでも起こり得るつまずきが、深い落とし穴へとつながることもある。記者は今春から、貧困家庭に無償で食糧を配るフードバンクかわさき(川崎市多摩区)で、同行取材を続けている。参院選を控えたこの国の貧困の「実相」を、川崎から報告する。 (木原育子) 晴天だった五月五日のこどもの日。助手席に乗り込み、「いい天気ですね」と運転席の柴田修一さん(68)に話しかけると、「いたたまれないよ」と思わぬ答えが返ってきた。柴田さんは川崎市内で建設会社を営む親方。昨年一月から、配達ボランティアをしている。 多くの自治体の生活保護費の受給日は「月初めの平日」。六日に受給する家庭も多く、その前日は「一番ひもじい日」になる。そこに降り注ぐ太陽は子持ちの家族を惨めな気持ちに追い込むという。「今日はいつも以上の笑顔で頼みます」と念を押され、ワンボックスカーが
二〇一一年三月の東京電力福島第一原発事故の際、首都圏で大規模な避難が必要になる最悪のシナリオに備え、当時の菅直人・民主党政権下で首相談話の作成が極秘に行われていたことが分かった。本紙が入手した草案には「ことここに至っては、政府の力だけ、自治体の力だけでは、皆様(みなさま)の生活をすべてお守りすることができません」などと万策尽きた状況を想定した部分もあり、原発事故直後の政府内の危機感をあらためて示している。 草案を作成したのは、民主党政権で官邸の情報発信担当の内閣官房参与を務めていた劇作家の平田オリザ氏。当時、文部科学副大臣だった鈴木寛・元民主党参院議員が原発事故発生から一週間後の一一年三月十八日、作成を依頼し、平田氏は二日後の二十日に書き上げた。四百字詰め原稿用紙七枚に相当する約二千八百字の長文で、避難の範囲といった具体的な数値については、発表時の放射性物質の拡散状況に対応できるよう「○○
アニメ「マジンガーZ」などテレビや映画の主題歌、BGMの作曲で知られる渡辺宙明(みちあき)さん(90)の卒寿記念コンサートが三十日、東京で開かれる。代表曲を生演奏するコンサートを自ら監修、オーケストラを指揮する。音楽番組でAKB48などの流行曲をチェックし携帯端末で映像を見る生活で、「現役作曲家では一、二の最高齢」と音楽関係者も驚く活発な仕事ぶり。「自分の持ち味が結果的に若者に受けているのかな」と喜んでいる。 宙明さんは名古屋市生まれ。東京へ転居し府立三中(現・都立両国高校)の友人が持っていたハーモニカで音楽に目覚め、当時の洋画を見て作曲家を志した。 戦後は東大に入り、知人の紹介で作曲家の故團伊玖磨(だんいくま)さんに師事。CBC(中部日本放送)のラジオドラマ「アトムボーイ」で作曲家デビューした。三十代は映画音楽を中心に活動し、その後はテレビ番組にシフト。四十七歳で特撮ドラマ「人造人間キカ
「ロックンロールはたぶん、君の苦悩を解決しないかもしれない。それでも、苦悩ごと、君をダンスさせるんだ」。ザ・フーのピート・タウンゼントがロック音楽について語っている▼苦悩と困難が絶えず押し寄せてくる青少年期のための音楽であろう。したがって人生とうまく折り合える方法を覚えた大人には暴力的な叫び声にしか聞こえない。ロックとは「大人」が聞けば顔をしかめ、それを聞く子どもを見れば、思わず心配してしまう種類のものである▼この人たちの音楽も若い世代を熱狂させた。そして「大人」の神経を逆なでしたはずである。シーナ&ロケッツのシーナが亡くなった。敬称は付けない。それが流儀だろう▼初めて見たのは一九八〇年の「夜のヒットスタジオ」だったはずである。艶(なま)めかしさ、格好良さ、危険さが心をロック=揺さぶった。苦悩ごとダンスさせた▼最後にその声を聞いたのは昨年九月の土曜の夜だった。会社を出る。日比谷野音から漏れ
東京都国立市のシェアハウスで暮らすシングルマザーの女性(41)が、同じ家に住む独身男性と「事実婚」の関係にあるとみなされ、市が十一月、ひとり親家庭を対象とした児童扶養手当と児童育成手当を打ち切ったことが分かった。事実婚の実態はないが、市は「都の見解に従い、同じ住所の男女は事実婚とみなす」と説明。女性は「住所が同じだけで打ち切るなんて」と憤る。 女性は二〇一〇年に離婚し、一三年四月から長女(6つ)とシェアハウスで暮らし始めた。二階建ての10LDKに母子家庭と父子家庭、独身の計六世帯八人が入居する。女性はいずれの男性とも交際しておらず、生計も完全に独立している。住人はそれぞれが家主と個別に賃貸借契約し、光熱水費は平等に分担。居間やバス、トイレ、キッチンは共用だが、それぞれの居住スペースは施錠できる。
♪泣きながらあなたの帰りを待っている日々は 今日で終わり すてきなニュースがラジオで流れた(中略)信じられるかい すべての戦場が なくなった 今日なくなった 宮城県亘理(わたり)町のスーパーマーケット前。自衛隊のイラク派遣が間近に迫っていた二〇〇三年十二月、地元に住むシンガー・ソングライターの男性(49)の歌声とギターの音色が響いた。平和への思いを込めた自作の曲。ライブの傍らで知人女性が派遣反対の署名を集めていた。
自分ではがした作品の一部の紙を手にする中垣克久さん=18日、東京・上野公園の東京都美術館で(淡路久喜撮影) 東京都美術館(東京都台東区上野公園)で展示中の造形作品が政治的だとして、美術館側が作家に作品の撤去や手直しを求めていたことが分かった。作家は手直しに応じざるを得ず「表現の自由を侵す行為で、民主主義の危機だ」と強く反発している。 (大平樹) 撤去を求められたのは、神奈川県海老名市の造形作家中垣克久さん(70)の作品「時代(とき)の肖像-絶滅危惧種」。竹を直径一・八メートル、高さ一・五メートルのドーム状に組み上げ、星条旗や日の丸をあしらった。特定秘密保護法の新聞の切り抜きや、「憲法九条を守り、靖国神社参拝の愚を認め、現政権の右傾化を阻止」などと書いた紙を貼り付けた。代表を務める「現代日本彫刻作家連盟」の定期展として十五日、都美術館地下のギャラリーに展示した。 美術館の小室明子副館長が作品
埼玉県越谷市議会は十二日、辻浩司市議(38)=民主党・市民ネットワーク=に「反省を求める決議」案を賛成多数で可決した。辻氏は、特定秘密保護法案の慎重審議を求める意見書案を市議会に提出しようとしたが、「自民、公明の不当な反対で阻止された」と、短文投稿サイト「ツイッター」に投稿。激怒した自公両会派が「反省」を要求した。自公の対応に市民からは批判の声も上がった。 辻氏は法案が衆院で可決されたのを受け、今月二日に「法案の強行採決に反対し、慎重な国会審議を求める意見書」案の提出を市議会に申し出た。自公が「法案は国会で審議中であり、緊急性はない」などと反対し、提出は見送られた。
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