夢中になって「おはなし」だけを味わう30分、こういうの好きよ。 バイクで旅をするキノの物語。各話はとても短く、一話に一つ寓意が込められている。読みきりショートというよりも、拡張させるようなネタで勝負してこないつもりだな。おかげで、読み手は、どの巻のどの話から読んでもよいような仕掛けになっている。 小説の世界と、そいつを読んでいる自分がいる場所を比べることで、「今」「ここ」を相対化できる。共感しつつ「おはなし」にのめりこみ、いっぽうで「キノ」の行動に違和感を抱くわけ。 「キノ」が走る路は、レトロな雰囲気漂う懐かしい世界なのよ、んでもって、かかわる人々は「どっかで聞いたことがある世界」の典型なんだ。さらにもって、「キノと世界とのかかわり方」が、その国で巻き込まれる事件を通じて、少しずつ読み手に分かるように書いてある。 あいまいな言い方をしてすまぬ。ネタバレは反転で。 キャラとテクノロジーは異な
![ささやかな物語のチカラを感じる「キノの旅」](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/15a0200e4e07fe1cc7d1d823a40a067a2f708e51/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fdain.cocolog-nifty.com%2Fmyblog%2Fimages%2Fsugohon.jpg)