社会学者・宮台真司の映画批評本『正義から享楽へー映画は近代の幻を暴くー』の刊行を記念し、著者・宮台と作家/アイドル評論家・中森明夫のトークショーが、2月20日にLOFT9 Shibuyaにて開催された。リアルサウンド映画部では、2人が本の内容から話題の社会問題までを語り尽くした当日のトークイベントの模様を、両人の確認・加筆の上、前後編の2回にわたって掲載する。 中森:『正義から享楽へ』は映画の本であることに加えて、今を読み解く時代論としても出色だと思いました。1年だけでこの文量、しかも最新の映画だけでなく過去作も参照しつつ書き上げてしまうすごさを感じましたね。僕なんか2年に1冊くらいだから(笑)。最初に聞きたかったのが、『ダ・ヴィンチ』での映画連載をまとめた『<世界>はそもそもデタラメである』が、何年前でしたか? 宮台:十年前の2008年です。01年から連載を始め、終えたのが08年。8年間