編集部注目の書き手による単発エッセイ連載「DIARIES」。今回はPOP思想家・文筆家であり、昨年11月に第一歌集『抜け出しても抜け出しても変なパーティー』(左右社)を刊行された水野しずさん。「殺人」「殺気」「殺意」「アウトレイジ」……物騒なワードで紡がれる切れ味の鋭さと破壊力抜群の笑いに圧倒されるエッセイです。 スーパーモデルは全身から殺気を放っていた。生きていくのは大変だ。そんなことを思った。私はのんきにヌードルをすすった。 スーパーモデルはすごい。彼女の自らに対する厳しい目線が頑強なノミとなって生存の極限まで肉体を削り取っている。彼女の、と性別を限定してしまうのは、特に女性が産める側の性として授かった自らの身体に向けるノミの先端、マッターホルンのような急斜面に、より克明な死の決心を感じてしまうからだ。自らの生存を根本否定する情動が生きる糧になっている。殺意の彫像である。そんなものを「
