かつてはめったに診断することがない「幽霊病」と言われた性感染症、梅毒が急増している。2022年の患者数は、過去最多を記録した21年の1・6倍のペースで報告されている。その感染の広がりから専門医は「もはや普通の性感染症になった」と指摘する。 梅毒は11年以降増加に転じ、13年から爆発的に増えた。国立感染症研究所によると、昨年は7875人(速報値)が確認され、これまで最多だった7007人(18年)を更新した。22年は4月10日現在、全国で2592人(速報値)が報告され、前年同時期の1595人と比べ、著しく増加している。 10年以上に及ぶ流行拡大の背景には、海外客の増加やネット交流サービス(SNS)などを介した出会いがあるとされるが、詳しい原因はわかっていない。梅毒の患者と性交渉した場合の感染率は3割程度と高く、感染に気づかないまま検査や治療に結びつかず、拡大のスピードが増していると考えられる。